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もう、迷いはなくなっていた
ニコリと笑ってラティが出ていく。楽屋に二人残されて。「正直、思うのですが……マスターはこれとは比べものにならない修羅場《しゅらば》を、何度もくぐってきています。何を恐れるのですか……」 でも今までとはあからさまに勝負の質が違う。痛いこととイタイことだったら……。(……。否……) ……そうだ。痛いほうが、辛《つら》い。ここに来たばかりの自分ならわからないが、今は知っている。傷付くことの辛さ,アグ メンズブーツ。争うことの悲しさ。聖魔グランプリで嫌というほど味わって……それが嫌で、また引きこもってしまったのだ。 だが、ウィル子の言うとおりでもあった。今回は違う。歌。少なくとも、痛みや恐怖とは無縁の勝負。あの雨中強行軍に比べたら。「……なにか、思い付いたのですか?」「いや。残念、ながら」「でも……少し戻ってきた感じがするのですよー」 ウィル子が、少し嬉《うれ》そうに微笑《ほほえ》んだ。「さっきセンターにアクセスして調べたのですが、レミーナの歌声にはセイレーンの伝説どおり、特殊な魔力が込められているようです」「セイレーン……、か」「幸いグッジョブのおかげで、実際にはタンカーを沈めるほどのヤバイ歌ではなく悲しい歌ばっかり歌っているらしいのですが……」 確かに、レミーナの歌を聞きながら泣いている人は大勢いた。自分もこの酒場に入ってきたときは、それが心象にとてもあっていた。「純粋な歌唱力はもちろんですが、聴衆はそれプラス魔力で感化され、彼女に投票してしまう……とりうことみたいです。サクラを用意した挑戦者でさえ、負けたらしいのです」 田岡の比類なき自信は、その仕組みを知っているからか,アグ ブーツ 取扱店。だがレミーナ自身は……そんな悲しみの歌しか歌えないことを、どう思っているのだろう。そう考えれば、意図《いと》してそんなサブリミナル的能力を使っているとも思えなかった。 つまり純粋に歌った結果、聴衆が感化される……付け入る隙《すき》があるとすればその一点,ugg 楽天。「ますたー?」 ヒデオは断片的な、まとまりのないパズルのピースを、頭の端々に浮かべながら。「……歌って、みよう」「えっ……歌えるのですか? というか、ますたーって歌ったことが!?」 人をなんだと思っているのか。こんな得体の知れない世界ではなく、ちゃんと表側の社会で義務教育を終えている。音楽の時間とか、校歌とか、歌う機会はいくらでもあった。「お待たせしました。ちょっとでも喉《のど》にいい方がと思って、ほっとレモンを作ってもらいました」 トレイに湯気の立つグラスを三つ。ラティが戻ってきた。「レミーナさんたち、もうステージ横で準備してますけど……お二人は、もう何を歌うか決めました?」「あうう、それが……」 ラティの顔を見て、彼女との会話を思い出す。それを引き金として、思考の断片は、ヒデオの中で一つにまとまる。「勝ちを見据えられるほどの、ものでは,ugg バッグ。ないけれど」 ヒデオはウィル子に告げる。曲名は少し忘れたが、それがかかっていて場面を告げる。「「えぇえええええええええええっ,ugg エンジニアブーツ!?」」 ……ものすごい勢いで、二人に驚かれた,アグ ブーツ ハワイ。「まっ……まままますたー、あれを歌えるのですかっ,ugg ブーツ コーディネート!?」「す、すごいです! 私、惚《ほ》れちゃいそうですっ!!」 ……,ugg ムートンブーツ メンズ。 ヒデオはホットレモンを一口。 自然と言葉が浮かんできた。『I gotta believe』 どうしてこんなにも大好きだった言葉を、自分は忘れてしまっていたのか。 もう、迷いはなくなっていた。 5 歌い終えたレミーナが、聴衆に向けて楚々《そそ》とお辞儀をする |
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